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京都支部 BLOG

11月25日課題

京都大学法科大学院で使用されている課題です。

予習をお願い致します。

【事例】

Aは,事故当時,いわゆる難関⼤学に過去10 年間コンスタントに70 名近い合格者を輩 出している私⽴N高校の3年生(2003 年年7⽉1日当時17 歳)であった。Aは,同校の4クラスある理系進学コースに所属し,クラス35 名の中でも成績は飛びぬけて優秀であった。

学内外の模試データでは,超難関といわれるM⼤学医学部への合格可能性が9割を下回ったことがない。他方, Aは親に内緒で地元の暴走族のサブリーダーをしていた。そして,深夜にしばしば仲間たちと暴⾛行為を繰り返しているとのうわさがたっていた(ただし,補導歴はない。また,高校で特に問題⾏動を起こしたこともない)。Aは,父親Bからバイクを買い与えられていた。

Aは,2003 年7 ⽉1日の午前8時30 分ごろ,学期末試験に遅れそうになりBから買い 与えられていたバイクに乗り,通学路とは別の市道(制限速度30km)を時速約50km の スピードで⾛っていた。市道の両脇には,⺠家が連なっていた。Aが⾛行している市道の一端には,ゴミ収集⾞がごみ収集スペースに出されたゴミを回収するために停⽌していた。このゴミ収集⾞を抜くためにAが若干減速してゴミ収集のそばを通り抜けようとしたとき,ゴミ収集車の影からK(2003 年年7⽉1⽇当時5歳の幼稚園児,⼥子)が突然び出してきた。Aは,咄嵯にKとの衝突を回避しようとしたが,間に合わず, Kを跳ね飛ばし, Aみずからも転倒して全身を強打し,脳震盪を起こして起き上がれなくなった。

Kは,病院に運ばれたが,両腕を複雑⾻骨折したうえに,右⼿人差指に重篤な神経障害を残した。

Kは, 1か⽉月の入院生活の後,退院し,再び通園している。 他⽅, Aは,転倒した際に脊椎の神経を損傷し,搬送された病院で3か⽉の⼊院生活を送ったのちに退院したが,⾞椅子での⽣活となり,現在も通院を繰り返している。Aは,退院後,高校への通学のほかは⾃宅で療養しており医学部受験を断念し,法学部受験に転じようとしているが,体調不良のため,2004 年度の⼤学受験は断念せざるを得なくなった。また,Bは, Aの⽣活に適したように⾃宅を改造し,このために3000 万円の支出を要した。

Kは,ピアノ教師である⺟親Qの⽅針で,3歳のころからピアニストを目指して英才教育を受けていた。Kは,数々の幼児ピアノコンクールで第1位の成績をおさめており, 1年年前 には,地元の地⽅新聞社の紙面で,天才ピアノ少⼥と紹介されたこともある。しかし,現在は,右⼿人差指の障害のため,ピアノを⼗分に弾きこなすことができなくなった。

2003 年7⽉月1日にKが⾞道に飛び出したのは,幼稚園バスが来るのがゴミ収集車の陰になって⾒えなくなっているため,これを見つけようとしてのことであった。事故当時,普段はKに付き添っているQは,たまたま,自宅宅にKの忘れ物を取りに帰っていた。現在は,2003 年年12 ⽉12 ⽇である。なお, N高校は,バイクの免許取得を許可制にしているほか,バイク通学を禁止している。Aは,免許取得についての許可を受けていた。

(松岡久和他2名『⺠法総合・事例例演習』第2版,有斐閣(2009)p88)

【問題】 Aは, Qに対して損害賠償を請求することができるか。

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